
2026年FIFAワールドカップの開幕を約2か月後に控え、FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長が、アメリカのドナルド・トランプ大統領に対し、大会期間中のICE(移民・税関捜査局)による摘発を一時停止するよう直接要請する方向で協議が進んでいることが明らかになりました。

米スポーツメディア「ジ・アスレチック」の報道によると、FIFA幹部らはインファンティーノ会長がトランプ大統領に対し、2026年ワールドカップの開催期間中(6月11日〜7月19日)に限り、ICEによる摘発を全面的に停止するよう求めることを協議しています。要請の形式としては「大統領から大統領への直接対話(President-to-President)」として位置付け、FIFAとホワイトハウスの双方にとって前向きな発表となるよう、共同声明の形で行うことも検討されているとのことです。

トランプ大統領は2025年1月の就任以来、選挙公約に掲げた不法移民の大規模強制送還政策を着実に実行に移しており、ICEは全米複数の都市で摘発活動を強化してきました。これらの取り締まりは一部の都市で抗議者との衝突に発展し、今年初めには死亡事案も発生しています。ICEのライオンズ局長代行は以前から、W杯の試合警備においてICE職員が関与する意向を示しており、FIFA側の懸念はさらに高まっていました。

当初FIFAは、試合開催地となるアメリカ国内11都市での活動制限を求めれば十分と考えていました。しかし、各代表チームが試合開催地以外の都市にもベースキャンプを設置することが判明したため、FIFAは大会全期間にわたる全米規模での摘発の全面停止を求める方針に転換しています。

インファンティーノ会長とトランプ大統領は、近年にわたって公の場でも親密な関係を示してきました。昨年12月にワシントンD.C.で行われたW杯組み合わせ抽選会では、インファンティーノ会長がトランプ大統領に「FIFA平和賞」を授与し、大統領のノーベル平和賞受賞も公に支持しています。また今年3月には、インファンティーノ会長がトランプ大統領との会談を自身のインスタグラムで公表し、「W杯の準備状況や大会への高まる期待について話し合った」と明かしています。

FIFAの要請が実現した場合、トランプ大統領の岩盤支持層であるMAGA(アメリカを再び偉大に)勢力から反発を招く可能性があります。強制送還政策はトランプ政権の最重要課題の一つであり、支持層はすでに「政権がその方針を後退させているのではないか」との懸念を抱き始めているとされています。なお、類似した先例として、今年2月のスーパーボウルの際にはICEが試合警備への関与を控えた実績があり、W杯でも同様の措置が取られる可能性は否定できない状況です。
FIFAのインファンティーノ会長が、2026年ワールドカップ期間中のICE摘発の全面停止をトランプ大統領に直接要請する方向で協議が進んでいます。インファンティーノ会長は要請に前向きであり、両者の個人的な良好関係を背景に「大統領間の対話」という異例の形式での実現が模索されています。






