
トランプ外交の勝利—ベネズエラ制裁解除で米国が石油収益を管理、ロドリゲス大統領が訪米へ
2026年4月2日、米財務省はベネズエラの暫定大統領デルシー・ロドリゲス氏に対する制裁の解除を正式に発表しました。ニコラス・マドゥロ前大統領が米軍に拘束されてから約3か月、トランプ政権の外交戦略が新たな局面を迎えています。

2026年1月3日、米軍特殊部隊はベネズエラの首都カラカスにてニコラス・マドゥロ前大統領とその妻を拘束しました。現在、マドゥロ氏はニューヨークで麻薬密売の容疑で起訴されており、無罪を主張している状況です。マドゥロ氏失脚後、権力を承継したデルシー・ロドリゲス氏は米国との協調路線を選択し、エネルギーセクターの外資開放や投資誘致に積極的に取り組んできました。
米財務省の外国資産管理局(OFAC)は4月2日、ロドリゲス氏をサンクションリストから正式に削除しました。これにより、米国企業はロドリゲス氏と直接ビジネスを行うことが可能となり、民事・刑事上のリスクも消滅しました。トランプ大統領は先月、ロドリゲス氏について「素晴らしい仕事をしている」「米国代表団とも非常によく協力している」と称賛していました。
マルコ・ルビオ国務長官は2026年1月、上院外交委員会でベネズエラの石油収益管理に関する詳細な戦略を明かしました。同氏によると、米国はベネズエラの制裁石油3,000万〜5,000万バレルを市場価格で売却し、その収益を警察・医療・基本的サービスに充当するとのことです。「売却代金は、我々が監督権を持つ口座に預け入れる」と述べ、腐敗を防ぎベネズエラ国民に利益が渡る仕組みを強調しました。
ルビオ氏はこの石油政策を「安定化・復興・移行」の3段階戦略の第一段階と位置付けています。米国は当面、ベネズエラの石油産業への投資を直接補助するのではなく、制裁解除に伴う収益管理を通じて国家の秩序崩壊を防ぐ方針です。3月には財務省が国有石油会社PDVSAとの取引を米国企業に広く認可する包括的ライセンスを発行しており、フィリップス66、バレロ、シトゴ石油などの大手精製会社が直接調達を目指して動き始めています。
ロドリゲス政権はPDVSA(ベネズエラ国営石油会社)の米国子会社であるシトゴ石油の管理権を引き継ぐ準備を進めています。シトゴはルイジアナ・イリノイ・テキサスに3か所の製油所を持ち、米国内における重要なエネルギーインフラです。トランプ政権は2019年よりシトゴを債権者による差し押さえから保護する措置を維持しており、今回の制裁解除後もこの保護は継続される見通しです。
エネルギー長官クリス・ライト氏と内務長官ダグ・バーガム氏は既にベネズエラへの代表団を率いており、米国企業の石油・鉱山セクターへの投資を促進するための現地視察を行っています。ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量を誇る国であり、米国にとって戦略的エネルギー資源の確保という観点からも极めて重要な位置にあります。1月には外資を呼び込むための石油法が制定され、3月には鉱業セクターへの外資誘致法案も初回承認されています。
制裁解除を受け、ロドリゲス氏はトランプ大統領との首脳会談のため近く訪米する予定です。これは彼女が暫定大統領に就任して以来、初めての対面による外国首脳との会談となります。米連邦裁判所の民事訴訟においても、トランプ政権はロドリゲス氏をベネズエラの「唯一の国家元首」として正式に認定しており、国際社会への承認促進を後押ししています。
また、米国はロドリゲス氏に対し、在外公館(大使館・領事館)の再開や海外でのベネズエラ国有企業への復帰についても許可を与えています。2月にはカラカスの米国大使館の再開に向けた準備も開始されており、両国の外交関係は急速に正常化しつつあります。ロドリゲス氏はX(旧ツイッター)に「この進展が、両国民の利益のための効果的な二国間協力関係の構築を可能にすることを信頼している」と投稿しています。
トランプ政権によるベネズエラへの一連の外交的・軍事的行動は、マドゥロ体制の打倒から始まり、ロドリゲス暫定政権の承認、そして制裁解除による石油利権の米国管理という形で着実に結実しています。世界最大の原油埋蔵量を持つベネズエラのエネルギー資源を米国が管理下に置くことは、グローバルな石油市場におけるアメリカの戦略的優位性を大幅に高めることになります。また、イラン作戦(オペレーション・エピック・フューリー)によるホルムズ海峡の不安定化が続く中、西半球での安定的なエネルギー供給源の確保はとりわけ重要な意味を持ちます。ロドリゲス大統領の訪米が実現すれば、トランプ外交のさらなる成果として記録されることになるでしょう。






