
トランプ「生産的な会話」でイラン攻撃を一時停止―ホルムズ海峡危機に外交の光がさしているか
トランプ米大統領がイランと極秘の交渉チャンネルを開いていたことが明らかになった。報道によれば、交渉相手はイラン議会議長のモハンマド・バゲル・ガリバフ氏とされており、米国はイランへの発電施設への総攻撃を5日間停止すると発表した。中東情勢は新たな局面を迎えつつあるが予断を許さない状況は変わりない。米軍、イスラエル側、イラン側、周辺諸国への通常攻撃は止んではいない。

イランの議会議長モハンマド・バゲル・ガリバフ氏が、トランプ政権との水面下での交渉相手であることが、エルサレム・ポスト紙の取材でわかりました。 同紙の特派員アミハイ・スタイン氏によれば、今週中にもパキスタンのイスラマバードにおいて、米国とイランの高官による会談が計画されているとのことです。
トランプ大統領は23日(月)、エアフォース・ワンに搭乗する前に記者団に対し、イラン側の交渉相手について「非常に重要な人物だ」と述べるにとどめ、具体的な名前の公表は控えました。 また、イランの新最高指導者モジュタバ・ハメネイ師については「まだ接触していない。彼は負傷し、身を潜めていると見られている」と語りました。
ガリバフ氏は、イラン革命防衛隊の元司令官であり、同国の政治・軍事の中枢に深く関わる実力者として知られています。 交渉の窓口として同氏が選ばれた背景には、米国によるイラン軍の指揮系統への打撃があるとみられており、米側は「政権内の一部はこの交渉の存在すら知らない可能性がある」と分析しています。

トランプ大統領は23日、Truth Socialへの投稿で「米国とイランは過去2日間にわたり、中東の敵対状態を完全に解決するための非常に生産的な会話を行った」と明かしました。 そのうえで、「この建設的な対話の成果として、私は国防省に対し、イランの発電所・エネルギーインフラへの軍事攻撃をすべて5日間停止するよう命じた」と述べました。
トランプ大統領はこれに先立ち、ホルムズ海峡の再開通をイランが拒否した場合には「電力インフラを壊滅させる」と警告しており、今回の停止命令は大きな方針転換となります。 ただし、イラン外務省はこの交渉の存在を全面的に否定しており、アフガニスタンのイラン大使館は「米国が攻撃を断念したのはイランの警告に屈したからだ」との声明を出しました。

世界の原油輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡をめぐり、米国はイランに対して48時間以内の再開通を要求する最後通牒を発していました。 これに対しイラン側は、米国が攻撃を行った場合には「イスラエルおよび米国の同盟国のエネルギーインフラを取り返しのつかない形で破壊する」と脅迫していました。
また、ロシアが米国に対し「イランへの情報提供を停止する代わりに、米国はウクライナへの情報提供を止めるべきだ」という取引を持ちかけていたことも報じられました。 トランプ政権はこの提案を拒否しましたが、欧州の外交官の間では、米国が中東問題を優先してウクライナ支援を縮小するのではないかという懸念が高まっています。

トランプ大統領の攻撃停止発表を受け、ダウ工業株30種平均は一時約1000ドル(約2.2%)急騰しました。 S&P500が1.7%、ナスダック総合指数が2.0%それぞれ上昇し、世界の金融市場は安堵の反応を示しました。
エネルギー市場でも劇的な動きが見られ、北海ブレント原油が約10%下落、WTI原油も約9%下落しました。 ウォール街のアナリスト、アダム・クリサフリ氏は「世界経済は崖っぷちに立っていたが、少なくとも解決への道筋が見えてきた」とコメントしており、今後の交渉の行方に市場の注目が集まっています。
特使のスティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏は前夜遅くまでイラン側交渉担当者と協議を続けており、今週中にもイスラマバードでの高官会談が実現するかどうかが、今後の情勢を左右する重大な焦点となっています。
トランプ大統領は、イランとの極秘の交渉チャンネルを通じて、差し迫っていた軍事衝突の回避に向けた外交的成果を示しました。 交渉相手はイラン議会議長ガリバフ氏とみられており、今週中のイスラマバードでの米イラン高官会談が現実味を帯びています。 イラン側は公式に交渉の存在を否定しているものの、トランプ政権は「イラン指揮系統の混乱が原因だ」として、交渉継続に強い意欲を示しています。 ホルムズ海峡の緊張緩和と核問題の抜本的解決に向けた外交の行方に、日本を含む世界が固唾をのんで見守っています。






