
反ユダヤ主義の暴力、欧州で拡大―ロンドン・ゴルダーズ・グリーンで救急車が全焼、イラン系組織が犯行声明
2026年3月23日の深夜、英ロンドン北部のユダヤ人居住区ゴルダーズ・グリーンで、ユダヤ系ボランティア救急団体「ハツォーラ」の救急車4台が放火されました。シナゴーグに隣接する駐車場が現場となり、車内のガスボンベが爆発して近隣のアパートの窓ガラスが割れるなど、地域住民を震撼させる事件となりました。

2026年3月23日の午前1時40分頃(GMT)、ロンドン消防局はロンドン北部ハイフィールド・ロードで火災の報告を受け、現場に駆けつけました。 そこには、ユダヤ人コミュニティのボランティア救急組織「ハツォーラ(Hatzola)」が所有する救急車4台が炎上しているところでした。 ハツォーラは1979年に設立された非営利団体であり、北ロンドンのユダヤ人住民に対して無料の緊急医療搬送サービスを24時間提供している組織です。
炎上した救急車は、ユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)「マシュキェ・ハダット」に隣接した場所に駐車されていました。 車内に積まれていたガスボンベが次々と爆発し、近隣のアパートの窓ガラスが割れ、周辺住民は一時避難を余儀なくされました。 幸いにして、負傷者は報告されておらず、火災は午前3時6分(GMT)までに鎮火されました。

ロンドン警視庁はこの放火事件を「反ユダヤ主義ヘイトクライム」として捜査を開始しました。 現場付近のCCTV(防犯カメラ)映像には、黒い服装でフードをかぶった3人の人物が救急車に加速剤(ガソリンとみられる液体)を注いで点火し、その後逃走する様子が映っていました。 シナゴーグの幹部ジャック・タウブ氏は、「3人が救急車の戦略的な位置に布きれを置いているのが映像で確認できた」と述べ、該当のCCTV映像を警察に提供したことを明らかにしました。
捜査を率いるデトクティブ・チーフ・スーパーインテンデント、ルーク・ウィリアムズ氏は、現時点ではテロ事件としての認定はされていないと述べつつも、「イランと関係があるとされるグループがテレグラム上で犯行声明を発表しており、その真偽の確認が捜査の優先事項だ」と説明しました。 米国のテロ・過激派監視機関「サイト・インテリジェンス・グループ」は、この声明を発表したグループを「イランに連携した多国籍武装組織」と認定しており、同グループはベルギー、ギリシャ、オランダなどでも類似のユダヤ関連施設への放火事件に関与しているとされます。 記事執筆時点では、逮捕者は出ていません。

今回の事件は、英国を含む欧州全体でユダヤ人コミュニティへの暴力が深刻化している流れの中で発生しました。 2025年10月にはマンチェスターで、シリア人移民がシナゴーグで車両突入と刃物攻撃を実行するという重大なテロ事件が起きており、連続した攻撃のパターンが浮かび上がっています。 現地コミュニティを代表するカウンシラー(市議会議員)のシモン・ライド氏は、BBCの取材に対して「非常に衝撃的だが、驚きはない。ユダヤ人コミュニティは、自分たちが直面するリスクを痛切に認識している」と語りました。
専門家たちは、2026年2月末に始まった米国・イスラエルによるイランへの軍事作戦以降、世界規模でユダヤ人・イスラエル関連施設を標的とした攻撃が急増していると指摘しています。 今回の放火現場となった北ロンドンのゴルダーズ・グリーンは、英国最大のユダヤ人居住地区の一つであり、地域コミュニティ全体に大きな衝撃と恐怖をもたらしました。

英国のキア・スターマー首相はSNSへの投稿で、この事件を「深く衝撃的な反ユダヤ主義的放火攻撃」と強く非難し、「反ユダヤ主義に英国での居場所はない」と明言しました。 野党・保守党のケミ・バデノック党首も、「私たちは皆、これに立ち向かう必要がある」と述べ、党派を超えて一致した非難の声が上がりました。 英国保健省のウェス・ストリーティング長官も「ユダヤ人救急車への由々しき攻撃だ」と述べ、情報を持つ者は警察に通報するよう呼びかけました。
米国では、トランプ大統領政権が反ユダヤ主義への断固たる姿勢を世界に示し続けています。 トランプ政権は国内でも反ユダヤ主義的行為を放置する大学への連邦資金停止措置を積極的に推進しており、欧米における反ユダヤ主義に対して毅然と対処する姿勢は国際社会においても高く評価されています。 欧州での今回の事件は、トランプ大統領が推進するユダヤ人・イスラエルの安全保障優先政策の重要性を、改めて世界に示すものとなっています。
ロンドン・ゴルダーズ・グリーンで発生した今回の放火事件は、ユダヤ人コミュニティを支えるボランティア救急組織が標的にされた卑劣な犯行です。 イランに関連する組織が関与した疑いが浮上しており、欧州各地での類似事件との連続性も指摘されています。 救急車4台は完全に焼失しましたが、人的被害がなかったことは不幸中の幸いでした。 今後の捜査の進展と、欧州全域での反ユダヤ主義的テロへの対策強化が強く求められています。






