
コロンビア・ペトロ大統領、麻薬カルテルとの癒着疑惑でDEA「最優先標的」に指定—米連邦検察が本格捜査へ

アメリカ司法省(DOJ)が、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領に対する刑事捜査を開始しました。麻薬密売組織との癒着、選挙資金への不正献金疑惑が焦点です。DEAは同大統領を「最優先標的」に指定しており、退任後の起訴も視野に入っています。
米司法省は2026年3月20日、ニューヨーク州マンハッタンおよびブルックリンの連邦検察官に対し、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領への刑事捜査を開始するよう指示しました。 捜査では、ペトロ大統領の側近が麻薬密売組織の幹部と接触し、米国への身柄引き渡し(犯罪人引き渡し)を阻止する見返りとして賄賂を要求した疑惑が中心となっています。 現時点で捜査はいずれも初期段階にあり、刑事訴追に発展するかは明らかではありません。

麻薬取締局(DEA)の内部記録によれば、ペトロ大統領は2022年以降、複数の捜査において機密情報提供者の供述から名前が浮上しています。 容疑には、メキシコの大手犯罪組織「シナロア・カルテル」との取引や、自身が推進した「完全平和」政策を悪用して選挙資金を提供した麻薬密売業者を優遇したとされる疑惑が含まれます。 さらに、コロンビア国内の港を通じてコカインやフェンタニルを密輸するために法執行機関を利用した疑惑も記録されています。

ペトロ大統領の長男ニコラス・ペトロ氏は2023年、麻薬密売組織と関係する人物からの不正選挙資金がキャンペーン口座に流入していたことを法廷で認めています。 ただし、父親であるグスタボ・ペトロ大統領本人は「不正資金の存在を知らなかった」と主張しており、当時は大統領自身への起訴は見送られました。 これを受けてトランプ政権は2025年10月、財務省がペトロ大統領本人と妻のベロニカ氏、息子ニコラス氏を含む複数の関係者に制裁を科しました。財務長官スコット・ベッセント氏は「麻薬カルテルの活動を野放しにし、取り締まりを拒否した」と厳しく非難しています。

トランプ大統領とペトロ大統領の間には、長年にわたる激しい対立の歴史があります。ペトロ大統領は過去にトランプ氏を「新しいヒトラー」と呼んだほか、国連の演壇でトランプ氏に対する刑事訴追を求める発言も行いました。 トランプ大統領も対抗するように、ペトロ大統領を「狂人(ルナティック)」「違法薬物の指導者」と公の場で断言し、麻薬対策強化を巡ってコロンビアへの外国援助停止を警告してきました。 なお今回の捜査は、ホワイトハウスが主導したものではないとされています。

ペトロ大統領は任期制限により、2026年5月のコロンビア大統領選挙後に退任することが決まっています。 米当局による今回の刑事捜査は、大統領退任後の起訴を見据えた布石とみられており、コロンビア国内の選挙戦にも影響を与える可能性があります。 ペトロ大統領のビザは昨年9月に一度取り消されましたが、今年3月に再発行されています。
今回の米司法省による刑事捜査は、麻薬密売組織との癒着、不正な選挙資金、犯罪人引き渡し阻止工作という三重の疑惑を核として始まりました。 DEAは既にペトロ大統領を「最優先標的」に指定しており、捜査当局の視線は退任後を見越した起訴準備に向いていると言えます。 トランプ政権は「麻薬撲滅」を外交政策の柱に据えており、南米の反米左翼勢力への断固たる姿勢を国内外に示す重要な一手と捉えることができます。 現在、捜査は初期段階にあり、刑事訴追に進むかは未定ですが、2026年5月のペトロ大統領退任と同時に情勢は大きく動く可能性があります。






