
アメリカとイスラエルによる大規模空爆が続く中、イランの高官がトランプ大統領に対し「排除されることに気をつけろ」と公然と警告しました。米情報機関はイランが海外のスリーパーセルを起動させた可能性を示す暗号通信を傍受。イランの革命防衛隊(IRGC)による複数の暗殺計画の実態も明らかになっています。

2026年3月10日、アメリカとイスラエルによるイラン空爆が開始から11日目を迎える中、イランの有力高官アリ・ラリジャニ氏がSNSのX(旧ツイッター)に英語・アラビア語で投稿を行い、トランプ大統領に対して直接的な警告を発しました。
「イランはあなたの空虚な脅迫を恐れない。あなたより偉大な者でさえ、イランを消し去ることはできなかった。あなた自身が排除されることに気をつけなさい」
ラリジャニ氏はイランの最高安全保障会議の書記を歴任した重鎮であり、その発言は単なる感情的な怒りではなく、体制としての意志表示と受け取られています。
テヘランでは連日、「異常に大規模」と形容される爆発音が轟き、首都上空に黒煙が立ち上る映像が世界に流れています。 イランの軍事インフラは11日間の爆撃によって深刻なダメージを受けており、最高指導者だったアリ・ハメネイ師は2月28日の米・イスラエルによる空爆で死亡。後継として息子のモジュタバ・ハメネイ氏が最高指導者に就任したとされています。
そのような状況下でも、イランの国会議長モハンマド・バゲル・ガリバフ氏は「我々は停戦を求めていない。侵略者は口をパンチされ、二度と愛するイランへの攻撃を考えないよう教訓を学ぶべきだ」と強硬な姿勢を崩しませんでした。 かつてイランの指導者たちはこのような脅しを発するたびに、アメリカ側が宥和的に対応してきました。しかし今は違います。爆弾がテヘランに降り注ぎ、トップ幹部たちが次々と地下壕に逃げ込む状況の中での”威勢の良い言葉”は、国際社会の目には空虚に映っています。
ラリジャニ氏らの警告に先行する形で、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に強烈な投稿を行っていました。

「もしイランがホルムズ海峡における石油の流れを阻止するようなことがあれば、アメリカはこれまでの20倍の強さでイランを攻撃する」
さらにトランプ大統領は「イランが二度と国家として再建できないような標的を容易に破壊できる」と警告し、「死と炎と怒り(Death, Fire, and Fury)が彼らに降り注ぐ」と続けました。 ただし、そうならないことを望むとも添えています。また、FOXテレビのインタビューでは、新たに最高指導者となったモジュタバ・ハメネイ氏について「彼が平和に生きることはできない」と述べ、イランが体制を維持し続けることへの強い不満を示しました。
現在、ホルムズ海峡は事実上封鎖状態となっており、石油タンカーの通行が止まっています。 世界の原油市場は急激な価格上昇に見舞われており、サウジアラビアの国営石油会社アラムコも市場への「壊滅的な影響」を警告しています。

ラリジャニ氏の警告がSNSを通じて行われた一方、さらに深刻な懸念も浮上しています。アメリカの情報機関は、ハメネイ師の死亡(2月28日)直後、イランからの暗号化されたメッセージを傍受しました。 このメッセージは「外国に潜伏するスリーパーセル(休眠工作員)への作動指令」と見られる性質のものでした。
ABCニュースが報じたこの通信は、インターネットに依存しない歴史的な工作員起動手法に類似しており、情報当局のアラートには「この信号は、発信国の外で活動する、事前配置されたスリーパー資産を起動させるか、指示を与えることを意図している可能性がある」と記されています。

元アメリカ国土安全保障省(DHS)顧問のチャールズ・マリノ氏は、「10〜20人規模のセルによる同時多発攻撃が可能で、コンサートやスポーツ観戦などのソフトターゲットが狙われる可能性がある」と警告しています。 特に懸念されているのが2026年夏に開催予定の「FIFAワールドカップ」です。同大会はアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共催で、国家的安全保障イベント(National Special Security Event)に指定されています。 また、イランと関係のある工作員がベネズエラを経由してアメリカ国内に侵入するルートを利用しているとの報告もあり、すでに工作員ネットワークがアメリカ本土に構築されている可能性が指摘されています。
今回のイランによるトランプ大統領への脅迫は、単なる言葉の応酬ではありません。すでに司法手続きを通じて、イランの革命防衛隊(IRGC)が実際にトランプ大統領の暗殺を企てていた事実が明らかになっています。司法省は互いに独立した二つのIRGCによる暗殺計画の関与者として、パキスタン国籍のアシフ・マーチャント氏とアフガニスタン国籍のファルハド・シャケリ氏を起訴しました。
マーチャント氏はIRGCが訓練したパキスタン人で、2024年の大統領選期間中にトランプ氏を含む複数のアメリカ政治家の暗殺を計画したとして起訴されました。 標的にはトランプ氏のほか、バイデン氏やヘイリー氏の名前も含まれており、マーチャント氏は潜入捜査員に5,000ドルを手渡した事実も確認されています。 2026年3月、ブルックリンの連邦陪審によって有罪評決が下りました。

裁判の過程でマーチャント氏は、2024年7月13日のペンシルベニア州バトラーでの選挙集会でトランプ氏が銃撃された事件についても言及しており、「あの暗殺未遂は自分が計画したものと同じ方法だった。IRGCが背後にいると確信している」と述べています。
IRGCがこれらの暗殺計画に乗り出した動機は、2020年1月にトランプ大統領(当時)の命令によってアメリカ軍が実施した、イランの精鋭部隊「クッズ力」司令官カセム・ソレイマニ将軍の殺害に対する報復です。 司法省は「IRGCはソレイマニの死に対する復讐を公言しており、アメリカ国内外でアメリカ市民を標的とした攻撃を計画・実行している」と明言しています。
もう一つの暗殺計画の主犯格であるファルハド・シャケリ氏は、現在もイランに潜伏しており、まだ身柄が確保されていません。 シャケリ氏は1991年にアメリカでの傷害致死罪で有罪判決を受け、14年間服役した後、2008年に強盗罪で再び収監・国外追放されました。その後イランに渡り、IRGCの工作員となり「シャケリ・ネットワーク」と呼ばれる犯罪組織を率いてIRGCのために監視・暗殺作戦を実行してきたとされています。

司法省によれば、シャケリ氏は2024年10月7日(ハマスによるイスラエル攻撃の1周年)にIRGCの上官から「1週間以内にトランプ暗殺計画を提出せよ」と命じられていました。 また、スリランカでのイスラエル人観光客を標的とした大量殺傷テロ計画や、ニューヨーク在住のユダヤ系アメリカ人の監視任務も担っていたとされています。
さらにシャケリ氏は、イラン系アメリカ人の女性権利活動家でジャーナリストのマシー・アリネジャド氏の暗殺計画にも関与しており、その実行役への報酬支払いが判明しています。 共犯者カーライル・リベラ氏(ブルックリン)はすでに有罪答弁を行い、ジョナサン・ロードホルト氏(スタテンアイランド)も有罪答弁済みで量刑宣告待ちの状態です。

国防長官ピート・ヘグセス氏は記者会見で重大な事実を明かしました。「トランプ大統領の暗殺を企てた部隊のリーダーが追い詰められ、排除されました。イランはトランプ大統領を殺そうとした。しかしトランプ大統領が最後に笑いました」 イスラエルのジャーナリスト、アミット・セガル氏のX上の報道によると、IRGCの特殊作戦部門長ラフマン・モカダム氏が今回の軍事作戦の中で排除されたとされています。
トランプ大統領自身も「私は向こうが私を仕留める前に、相手を仕留めた(I got him before he got me)」と述べており、ABCニュースがこの発言を伝えています。 ヘグセス長官はまた「作戦の焦点はあくまでもミサイルと発射台の破壊にあった。しかし、アメリカ人を狙った人物を排除する機会があれば、我々はそれを行う」と説明しました。
過去を振り返れば、イランは2022年にも公式サイトに「ゴルフ場でトランプをドローンと戦闘ロボットで暗殺する」という不気味なアニメーションを公開しています。

2023年にはIRGCの航空宇宙部門長が「神の思し召しにより、我々はトランプを殺すことを目指している」と発言するなど、イランによる脅しは長年にわたって継続されていました。
今回の一連の出来事は、単なる言葉の応酬ではなく、イランによるアメリカへの組織的な脅威の深刻さを改めて浮き彫りにするものです。
テヘランへの爆撃が続き、軍事力が日々低下しているにもかかわらず、イランの指導者たちは依然として威勢のよい言葉を発し続けています。 しかし今や、その言葉は廃墟の中から発せられるものであり、かつてほどの重みを持たないことは明らかです。一方で、IRGCのスリーパーセル起動の可能性、FIFAワールドカップを狙ったテロの懸念、そしてイランに逃亡したままの暗殺計画主犯者の存在は、依然として看過できない現実的な脅威です。
トランプ大統領は「ホルムズ海峡封鎖には20倍の報復」という明確なレッドラインを引き、強い意志を示しています。 また、トランプ政権はイランによる暗殺計画の主犯格を今回の軍事作戦の中で排除することに成功しており、「言葉だけでなく行動で示す」姿勢を内外に示しました。 かつてオバマ政権が行ったように現金の山積みパレットを贈って宥和するのではなく、トランプ大統領が選んだのは圧倒的な軍事力による現実的な抑止という道です。 イランが変わらず「最大限の抵抗」を掲げ続ける限り、この対立は長期化するとの主流メディアの報道があります。一方、トランプ大統領は「米軍のイランに対する攻撃予定が、かなり前倒しで進んでいる」と述べています。状況は刻々と変化しています。今後の展開を注視する必要があります。






