
DHS(国土安全保障省)閉鎖38日目、トランプ大統領が上院共和党に最後通牒―「SAVE法なき合意は認めない」
トランプ大統領は2026年3月23日、国土安全保障省(DHS)の予算協議にあたり、上院共和党議員に対し「セーブ・アメリカ法」の同時成立を強く求めました。同法は連邦選挙での市民権証明と写真付き身分証明書の提示を義務付ける、選挙の公正性確保を目的とした重要法案です。
DHS(国土安全保障省)は、2026年2月14日より予算が途絶え、記事執筆時点で38日間にわたって閉鎖状態が続いています。 上院は同月12日以降、下院を通過したDHS予算継続決議案を5度にわたって否決しており、審議は完全に膠着状態に陥っています。 閉鎖の長期化によって最も深刻な打撃を受けているのが空港保安です。給与未払いが続く運輸保安庁(TSA)職員の欠勤が相次ぎ、全米各地の空港で長蛇のセキュリティ列が発生しています。 トランプ政権はこの緊急事態に対応するため、移民税関捜査局(ICE)の職員を十数か所の空港に追加配置し、保安業務の穴を埋める措置を講じました。

トランプ大統領は3月23日、テネシー州メンフィスで開催された円卓会議の席上、上院共和党に向けて明確な指示を発しました。「共和党に強く提案する。何についても取引するな。SAVE America法こそが、われわれにとって最も重要なものだ。市民権の証明と写真付き有権者IDを予算案に組み込まない限り、いかなる合意にも応じてはならない」と断言しました。 さらに同日午後には、「上院共和党議員に直ちに行動するよう要請する。イースターの休暇など気にする必要はない。むしろ、これをイエス(の復活)のために捧げよ」と述べ、休会前に必ず決着をつけるよう強く促しました。 また、トランプ大統領は上院の「フィリバスター(議事妨害)」の廃止をも求め、民主党の議事妨害戦術によって選挙改革が阻まれないよう、議会手続きの抜本的な見直しを訴えました。

SAVE AMERICA法(Safeguard American Voter Eligibility Act)は、連邦選挙において有権者登録の際に米国市民権の証明書類を提出することと、投票時に写真付き身分証明書(写真ID)の提示を義務付けることを骨子とする法律案です。 現行制度では、有権者登録の際に「市民である」と署名するだけで足り、実際の証明書類の提出は求められていません。同法はこの抜け穴を完全に塞ぐものです。 法案にはさらに、DHSの「在留資格確認システム(SAVE)」データベースを通じて有権者名簿から非市民を洗い出すことを各州に義務付ける規定も盛り込まれており、選挙の正当性を根本から守る画期的な内容となっています。 同法案はすでに下院を通過し、超党派の国民的支持を得ているにもかかわらず、上院では民主党の強固な抵抗に直面しています。

上院多数党院内総務のジョン・スーン議員(共和党、サウスダコタ州)は、SAVE AMERICA法に対する党内の幅広い支持は認めながらも、「DHS再開の条件として同法の成立を保証するという考えは現実的ではない」と述べ、トランプ大統領の要求に冷水を浴びせました。 一方、上院少数党院内総務の
議員(民主党、ニューヨーク州)は、「トランプ大統領が交渉を破壊するのを止め、協議を続けさせることを望む」と批判し、大統領の新たな条件提示が折衝を一層困難にしたと主張しています。

週末には民主党が一部の共和党議員を引き込み、ICEを除く非移民執行部門への部分的予算案を可決させようとする動きを見せていましたが、トランプ大統領の強硬姿勢により、この試みは頓挫しました。 共和党のジョン・ケネディ上院議員(ルイジアナ州)は「ICEを除く全機関を再開するという民主党の提案を受け入れ、ICEの予算は財政調整措置で別途確保すべきだ」との考えを示しており、党内でも意見が割れています。
トランプ大統領は、38日間にわたる国土安全保障省の閉鎖解除に向けた予算交渉において、選挙の正当性を守る「SAVE AMERICA法」の同時成立を不可欠の条件として上院共和党に強く求めました。 同法はすでに下院を通過し、国民の幅広い支持を得ているにもかかわらず、上院では民主党の徹底抗戦により成立の見通しが立っていません。 TSAの人員不足による空港混乱が深刻化する中、選挙の公正性という国家の根幹に関わる問題と予算審議の行方は、今後のアメリカ政治の趨勢を大きく左右する重大局面を迎えています。






